安彦と一緒にD×P今井紀明さんにガチ相談!〜支援を必要としている人に情報を届けるには?〜
12月15日にハチドリ舎で開かれた「安彦と一緒にD×P今井紀明さんにガチ相談!」。
店主の安彦さんが、認定NPO法人D×Pの理事長である今井さんに「ハチドリハウス」というプロジェクトに関して事業相談をするイベントでした。
ゲスト:今井 紀明 (いまい のりあき)さん
認定NPO法人D×P(ディーピー)理事長。
1985年札幌生まれ。
立命館アジア太平洋大学(APU)卒。
高校生のとき、イラクの子どもたちのために医療支援NGOを設立。
現地の武装勢力に人質として拘束され、帰国後「自己責任」の言葉のもと、日本社会から大きなバッシングを受ける。
対人恐怖症になるも、友人らに支えられ復帰。
偶然、通信制高校の生徒が抱える課題に出会い、親や先生から否定された経験を持つ生徒たちと自身のバッシングされた経験が重なり、
若者を支え、「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会」をつくりたいと2012年にNPO法人D×Pを設立。
ハチドリハウスとは、虐待を受けた人や、虐待を「受けてるかもしれない」人に寄り添うための、シェルターをつくるプロジェクト。
ハチドリハウスにはソンちゃんことキム・ソンファさんが深く関わっているので、こちらの記事も読んでみてください。
以前は、ソーシャルビジネスの先輩である尾野寛明さんにお話を聞きました。その時のイベントレポートはこちらです。
ライターのぼくもハチドリハウスの計画に携わっているので、しっかりお話を聴きに行きました。
ハチドリハウスの計画について、今井さんがアドバイス
周りの人との自己紹介を通したアイスブレイクと、今井さんが理事長を務めるD×Pの紹介が終わり、いよいよハチドリハウスについての相談です。
ソンちゃんと安彦さんが、ハチドリハウスや広島での虐待をとりまく現状について説明していきます。
ハチドリハウスが目指しているのは、図の一番下に当たる「ゆるいシェルター」。
1番上の急性期シェルターは、いますぐに保護しないと命が危ない人を受け入れる場所。
2番目の民間シェルターは、急性期ほどではないけど保護すべき人を受け入れる民間の場。
しかし、上の2つだけでは一時的な保護だけしかできず、虐待を受けた人に寄り添う本当の支援ができるとは言えません。
また、虐待が起きる前の保護には手が回らず、施設自体の数も少ないです。
そこで支援からこぼれ落ちている人を助けるのが、ハチドリハウス。
ソンちゃんの説明を聴いた今井さんが最初に言ったのは、「本当にやりたいことなの?」「何を解決したいの?」ということ。
今井さんが事業相談を受けるときに大切にしているのが、
- 本人が本当にやりたいことは何か
- リスクはあるか
- お金をどう用意するか
この3つについてとことん話をすること。
ハチドリハウスは「本当にやりたいこと」を突き詰めて、支援の対象や形を考え直していきました。
ソンちゃんは、「トラウマはなくせなくても、自分に向き合える時間や空間になる居場所があれば、自分の人生に希望を持てるんじゃないか」と話します。
そしてソンちゃんの話を聴いた今井さんが課題としてあげたのは「対象がはっきりしてないよね」ということ。
ハチドリハウスが支援したいのは、
-
虐待「されているかもしれない」人なのか
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虐待「されていた」人なのか
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子どもを虐待してしまうのではないかと不安に思っている親なのか
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身体的に虐待を受けた人なのか
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精神的に虐待を受けた人なのか
-
性的虐待を受けた人なのか
どの場合でも、必要な知識や設備は全く違います。
専門性が全く別である支援を求めている人が同じ場所に集まると、対応するのは大変です。
また、
- 虐待の現状を世間に知らせたいのか
- 現場で支援をしたいのか
によっても活動内容は変わってくるといいます。
D×Pでは LINE@を通した進学・就職相談をオンラインで行なっていますが、その中でも深刻な状態の人からSOSが送られてくることがあるそう。
そんなときは今井さんが直接お話をしているそうですが、専門以外の分野から来る声に答えるのは大変だと今井さんは話します。
例えばシェルターなどの住居だと、入念に自殺対策もしないといけません。
専門性に関しては簡単に考えない方がいい、というのが今井さんの意見です。
ソンちゃんが本当にやりたいのは、「話をすること」。
まずは話を聴いて、必要な支援につなげて行くのがいいんじゃないかということになりました。
そして今井さんがもう一つ重要としてあげるのは、民間の類似例を探すこと、そしてあればヒアリングに行くこと。
どんなことが必要なのか、実体験から学べるからです。
今井さんに相談して分かったハチドリハウスのやるべきことを大きく2つに分けると、
- 支援の対象をしぼり必要な専門性を知る
- 類似例を探す
- 実際に虐待を受けた人と繋がってニーズを知る
ということ。
「形が先行しちゃってたのかもしれないな」と、安彦さん。
1時間ほどで、ハチドリハウスの姿がどんどん研ぎ澄まされていきました。
まとめ:本当にやりたいことを見極めてから考えることが大切
今井さんのお話を聴いてひしひしと感じたのは、「そもそも何がしたいのか」を読み誤ってしまうと方向性が全く変わってくる、ということです。
前回ゲストで来ていただいた尾野さんも、「何をしたいのかハッキリさせてから起業しないと、手段の目的化が起こる」ということを話されていたのを思い出します。
ハチドリハウスの支援について、目的から様々なことを煮詰めていこう、と思った2時間でした。
大阪からハチドリ舎に来てお話をしてくださった尾野さん、
ソーシャルビジネスについてみんなで考える機会をつくってくださったハチドリ舎のみなさん、
ありがとうございました!
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