Social Book Cafe ハチドリ舎 イベントリポート

広島平和公園近くにある、人と人 人と社会 広島と世界をつなげるブックカフェ ハチドリ舎で、月に20〜30ほど開催しているイベントをピックアップして、リポート!

安彦が尾野さんにガチ相談 〜次にやりたいソーシャルビジネスの話〜

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11月8日に、ハチドリ舎で開かれたイベント「安彦が尾野さんにガチ相談 〜次にやりたいソーシャルビジネスの話〜」。

 

タイトルの通り、店主の安彦さんが「次にやりたいソーシャルビジネス」について、尾野寛明(おの・ひろあき)さんに相談するイベントでした。

 

<ゲストプロフィール>尾野寛明さん

 

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2001年、19歳の時に東京都文京区でネット古書店を創業、 2006年、本社をまるごと島根県に移転しました。

 

書店跡地を利用し、過疎を逆手にとって、倉庫代は東京の100分の1。

 

15万冊以上の蔵書があります。

 

2014年には障がい者雇用部門が分社化し、過疎地としては珍しい就労継続支援A型事業所として認可されました。

 

現在、島根県雲南市岡山県井原市の2ヶ所で事業所を運営し、高齢化で担い手不足に悩む過疎地のあらゆる地域資源障がい者の仕事にする試みを進めています。

 

嫁が田舎嫌いのため、移転以来、東京と島根を毎週行き来する「二地域居住」を10年以上続けています。

 

毎週末、地域づくりの「実践塾」を運営し、2011年以来7期目を迎える島根県雲南市の「幸雲南塾」を始め全国18カ所に取り組みが広がっています。

 

子育てママや普通のサラリーマンでも空き時間で気軽に無理なく地域づくりに携われる仕組み作りをしています。

 

 

 

 

 

 

 

安彦さんがやりたい次の「ソーシャルビジネス」とは、「ハチドリハウス」。

 

虐待を受けた人や、虐待を「受けてるかもしれない」人に寄り添うための、シェルターをつくるのが、安彦さんの新たな目標です。

 

ハチドリハウスにはソンちゃんことキム・ソンファさんが深く関わっているので、もしよかったらこちらの記事も読んでみてください。

 

 

hachidorisha.hatenablog.com

 

ハチドリハウスの計画について、尾野さんがアドバイス

 

以前、ハチドリハウスは助成金の申請をしましたが、落選してしまっていました。

 

安彦さんが申請書をスクリーンに映しながら、尾野さんに「この計画でうまくいくでしょうか...?!」とたずねます。

 

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尾野さんは申請書を見て、「行けるんじゃない?」と一言。

 

ハチドリハウスのような強い意志があるプロジェクトには必ず人が集まるし、プランがぐちゃぐちゃでもやる人はやってしまうんだそうです。

 

「逆に、ダメっていったらやめるの?」と尾野さん。

 

安彦さんとソンちゃんは、「やってみて、無理って思えないと諦められないよね」と笑います。

 

尾野さんがハチドリハウスについて話し合いたいのは、2つのこと。

 

  1. どんな人をサポートするか
  2. 資金集めはどうするか

 

この2つについて、参加者みんなで考えていきました。

 

 

どんな人をサポートするか

 

尾野さんがスライドに映し出したのが、こちらの図。

 

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1番上の急性期シェルターは、公的機関が運営しているような、いますぐに保護しないと命が危ない、という人を受け入れる場所。

 

2番目の民間シェルターは、急性期ほどではないけど保護すべき人を柔軟に受け入れる民間の場。

 

しかし、上の2つだけでは一時的な保護だけしかできず、虐待を受けた人に寄り添う本当の支援ができるとは言えません。

 

また、虐待が起きる前の保護には手が回らず、施設自体の数も少ないです。

 

そんな問題を解決するための場が、3つ目の「ゆるいシェルター」。ハチドリハウスです。

 

ハチドリハウスは、

  • 「虐待されていたかも」という人や、「虐待をされていた」という人のシェアハウス

  • 駆け込み寺のように逃げ込める場

という役割を目指しています。

 

ピラミッドに整理したことで、ハチドリハウスがサポートする人は

 

従来の保護からは滑り落ちてしまう、虐待を受ける前・後の人

 

と明確になりました。

 

 

資金集めはどうするか

 

安彦さんが考えている資金源は2つ。

  • サポーター会員をつのり、少額ずつ寄付をしてもらう

  • 広島の企業に対して、「利益を地元に還元することを呼びかける

 

尾野さんは、「もっと助成金を活用していい」と言い切ります。

 

「こんなに社会にとって必要で、これだけの社会的損失を回避できるんだよっていうのを示せるなら、そこにお金を出す仕組みはあっていいと思う」

と熱く語る尾野さん。

 

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「プレゼンは採点競技だから」

「100万円以上になると、プロでも打率は3割」

と尾野さんは教えてくれました。

 

助成金審査を「する側」だったこともあるという尾野さん。

 

  1. 課題設定力
  2. 具体性・実現可能性
  3. 創意工夫
  4. 地域との関係性
  5. 熱意・共感力・モチベーション
  6. 責任感・公共心
  7. 周囲を巻き込む力

のような項目を総合的に満たしているといいそうです。

 

資金面についても、知識が深まりました。

 

ここで、ハチドリハウスが防げるであろう社会的損失について考えてみます。

 

  • 自殺が減る→自殺する人が納めるはずだった税金の損失
  • 出生率が上がる→少子化対策に使っているお金を削減できる
  • 虐待前のサポート→虐待が起きてしまったときの、行政が動くコスト

 

「私は1年間に2万人も自殺してる日本が全然、平和だと思えなくて」と話す安彦さん。

 

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会場全体が静かな熱気に包まれていました。

 

 

参加者から尾野さん・ハチドリハウスに質問

 

ここで会場は質問タイムに。

 

Q. 継続することが難しいけど、どう考えてますか?(お金だけではないハードルの乗り越え方)

A. 尾野さん:適性。10年くらいしないと分からない。意思があれば大丈夫

 

Q. オススメの組織のかたちは?

A. 尾野さん

  • 合同会社 作るのは簡単 5~6万

  • 法人は 10万弱

  • 一般社団法人 1ヶ月くらいかかる。個人、任意団体でも大丈夫。確定申告のチェックが厳しい

  • NPO法人 3ヶ月くらい 税金面では助かるところがある

→一般社団法人がオススメ

 

Q. 似たソーシャルビジネスの事例を教えてください

A. 尾野さん

島でシェアハウスを作りたいというプロジェクト。

ニートとかフリーターを支援するシェアハウスがある。

ハチドリハウスのような組織は、全国初

 

Q. 社会的損失があるのは分かるのに、ゆるいシェルターが増えていかないのはなぜでしょうか?

A. ソンちゃん

ニュースで見るから、肌から感じれないのかもしれない

 

Q. ハチドリハウスはどうやってお金を稼ぐの?

A. 安彦さん

週末イベントや、シェアハウス代

 

 

まとめ:起業するのに必要な、多角的な視点をいただけました!

 

ハチドリハウスのプロジェクトには、この記事を書いているぼくも少しずつ参加しています。

 

尾野さんに切り込んでもらえたことで、自分に欠けていたいろいろな視点に気づくことができました。

 

例えば、「起業は手段」という尾野さんの言葉。

 

世の中のためになにをする? という目的をはっきりさせて起業しないと、起業自体が目的になってしまうそうです。

 

尾野さんの「起業者側」の視点からお話が聴けました。

 

助成金に関しても、「助成する側」の視点から。

 

問題点の整理も論理的にやっていく尾野さんを見て、

 

これからこのプロジェクトに携わっていく人間として、もっと物事を深くとらえないといけないな」と強く感じました。

 

お話をしてくださった尾野さん、

ソーシャルビジネスについてみんなで考える機会をつくってくださったハチドリ舎のみなさん、

ありがとうございました!

 

 

レポーター:はいど